フラッシュバックを知る

電車の中や人混みでフラッシュバックが起きたら:『その場を乗り切る』ための具体的なヒント

Tags: フラッシュバック, 対処法, 外出, 不安, 特定の場所, グラウンディング

はじめに

長年フラッシュバックの症状に悩んでいらっしゃる方の中には、特定の場所や状況、例えば電車の中や人混みなどでフラッシュバックが起きやすく、外出そのものに不安を感じている方も少なくないかもしれません。このような「逃げ場がない」「すぐにその場を離れられない」状況でのフラッシュバックは、より一層つらく感じられることがあります。

これまで様々な対処法を試されてきたかもしれませんが、特定の状況下での対処は難しさを伴います。この記事では、電車の中や人混みといった状況でフラッシュバックが起きた際に、その場をなんとか乗り切るための具体的なヒントや、外出前にできる準備についてお伝えします。

なぜ特定の状況でフラッシュバックが起きやすいのか

フラッシュバックは、過去のつらい出来事に関連する記憶が、あたかも現在起きているかのように鮮明に蘇る現象です。特定の場所や状況でフラッシュバックが起きやすいのは、そこに潜む「トリガー」が関係していると考えられます。

電車のアナウンス、人々の話し声、特定の景色、混雑による圧迫感、閉鎖的な空間、独特の匂いなど、その状況下にある様々な刺激が、過去のつらい記憶と結びついてトリガーとなり得るのです。さらに、すぐにその場から離れられないという状況自体が不安を募らせ、フラッシュバックを誘発したり、その強度を高めたりする可能性もあります。

電車の中や人混みでのフラッシュバックに備える事前準備

フラッシュバックが起きやすい特定の場所や状況を訪れることが避けられない場合、事前の準備をすることで、少しでも安心感を持ち、実際にフラッシュバックが起きた際の対処につなげることができます。

フラッシュバックが起きた『その場』でできること

万全の準備をしても、特定の状況下でフラッシュバックが起きてしまうことはあります。重要なのは、「なんとかその場を乗り切る」ことに焦点を当てることです。完璧に症状を消し去ろうとするのではなく、波をやり過ごすような感覚で試せる対処法をいくつかご紹介します。

対処が難しかった場合と、その後のケア

これらの対処法を試しても、フラッシュバックの波を完全に抑え込めないこともあるかもしれません。自分を責める必要は全くありません。特定の状況下での対処は、安全な場所にいる時よりも難しいのが自然なことです。

なんとかその場を乗り切って安全な場所に戻ることができたら、まずは頑張った自分を労わってあげてください。温かい飲み物を飲む、静かな場所で休む、信頼できる人に連絡を取るなど、心身を休ませ、安心を取り戻すための時間を大切にしましょう。

特定の状況でのフラッシュバックに繰り返し悩まされる場合は、自分だけで抱え込まず、専門家(精神科医、臨床心理士など)に相談することも有効な選択肢です。専門家は、特定の状況下での効果的な対処法を一緒に探してくれたり、フラッシュバックの根本的な原因にアプローチする治療法(例:EMDR、PE療法など)を提案してくれたりすることがあります。専門家への相談は敷居が高いと感じるかもしれませんが、多くの専門家は、悩みに寄り添い、解決への道を一緒に探してくれます。まずは地域の相談窓口や、かかりつけ医に相談してみるのも良いでしょう。

まとめ

電車の中や人混みなど、特定の状況でフラッシュバックが起きることは、長年の悩みを抱える方にとって非常につらい経験です。しかし、事前の準備や、その場でできるいくつかの対処法を知っておくことで、その波を乗り切る助けになる可能性があります。

ご紹介したグラウンディングや呼吸法、思考への対処などは、すぐに完璧にできるようになるものではありません。日頃から安全な場所で練習を重ねることで、いざという時に少しでも実行しやすくなります。

ご自身のペースで、一つずつ試してみてください。そして、自分一人で抱えきれないと感じた時は、専門家のサポートを検討することも、より穏やかな日常を取り戻すための一歩となり得ます。